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【名 称】手賀沼・親子自然観察会
【開 催 日】2006年11月9日(月・祝日)9:00−12:00
【場 所】千葉県柏市 手賀沼ヒドリ橋付近の用水路
【主 催】生物多様性研究会、
全国ブラックバス防除市民ネットワーク
【イベントの趣旨】
生物多様性研究会は約8年間、外来魚ブラックバスの問題に関する啓蒙活動などを行なってきましたが、その活動を通じ、「ブラックバスを駆除活動を広めたり、密放流は違法行為であるという認識を広めるためには、地域住人が自分の住む地域の水辺に関心とかかわりをもつことが必要」との思いを強めてきました。その実現のために、会員のひとりが在住する千葉県の手賀沼において、親子による自然観察会、具体的には魚を捕獲・観察し、可能なら持ち帰って飼うことをすすめるイベントを開催しました。
参加者を「親子」に限ったのは、ひとつは安全のためです。できるだけ小さな子どもたちに集まってほしいと考えましたが、参加児童・幼児の安全を確保するには、保護者による見守りが必要と考えました。また、私たちは、「小さい子どもの親たちは、休日に子どもと一緒に遊べるイベント(それもできるだけ自然にふれることができるもの)を求めている」という見解をもっています。そこで、親もぜひ一緒に魚捕りや魚の飼育を楽しんでほしいと思い、「親子自然観察会」としました。
【イベントの実際】
数日来の強風・大雨もやんで、当日は晴天に恵まれました。9時15分頃、主催者(生物多様性研究会)代表の秋月岩魚が、「外来魚問題の解決のためにも、多くの人に身近な川や湖に目を向けてほしい」と挨拶。続いて、講師の柄澤保彦先生から、手賀沼の概要や手賀沼に住む生き物の変化などについてお話がありました。その後、柄澤先生の手作りのセルビン、「ペットでドボンチャン」が配られ、家族ごとに用水路に沈めました。そして、魚が入るのを待つ間に、めいめいがタモ網を手にし、いわゆる「ガサガサ」をして魚を捕って楽しみました。捕った魚は3つの水槽(洋服ケースを使用)に集めましたので、小さな子どもでも覗いて間近に魚を見ることができました。
約1時間後、沈めておいたセルビンをそれぞれ引き上げてもらったところ、これまた予想より多くの魚が捕獲でき、大いに盛り上がりました。最終的にモツゴ、タナゴ、メダカ、フナ、ヨシノボリ、ヌマチチブ、スジエビ、テナガエビなど、あわせて200匹ほどの「大漁」となりました。
その後、再び柄澤先生より捕れた魚についての解説や、魚の飼い方、ブラックバス等外来魚などについてのお話があり、最後に助成をいただいた「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」事務局長の小林光さんより、市民が身近な水辺に親しみ、これを守っていく大切さについてお話をいただき、閉会となりました。水生生物保全研究会の紀平大二郎さんには、事前の準備から当日の指導まで、イベント全体を通じてご尽力いただきました。
【イベントの成果と反省点】 全体として、イベントを成功裏に終えられたと考えています。成果があったと思われる点、および、当日感じた点は以下のようなものでした。
(1)手賀沼周辺に住んでいる、小さな子どもの親たちは、「子どもを水辺や生き物に親しませたい」という希望を強くもっているが、そのきっかけがつかめない。こうしたイベントが(しかも無料で)開催されるなら、ぜひ参加したいという親は意外に多い。(⇒イベント前には「今回は行けないが、次回もぜひ教えてほしい」という声が複数寄せられた。イベント後も「次回も声をかけてほしい」という声が多数あった。)
(2)参加した子どもたちの年齢は2歳〜14歳と幅広かったが、どの子も自分なりに楽しめていた(厳密には、4歳くらいが「楽しめる最年少」という印象)。また、親たち自身、夢中になり、魚捕りを楽しんでいた人が多かった。
(3)イベント後、「こんな身近にこんな自然が残っているなんて」、「小さな用水路にこんなにたくさん魚がいるなんて思ってもみなかった」など、手賀沼の自然と生き物を「再発見」「再評価」する声が多数寄せられた。きっかけさえあれば、多くの人が手賀沼の自然を見直し、それを楽しみながら保全について考えてくれると感じた。
(4)今回は「必ず飼える家」に限って、魚を持ち帰ってよいことにした。結果的には、ほとんどの家庭で大事に飼っている様子で、イベント後数週間たっても、「元気で泳いでいます」「夫が飼育にはまっています」といった声が寄せられた。
(5)講師のレクチャーも好意的に迎えられた。27年間水質汚濁ワースト1だったが、利根川の水を引き込むようになって汚名を返上したこと、かつてはウナギも1トン採れたこと、現在も雑魚はたくさん捕れ、それが別な場所に運ばれて佃煮などになっていることなど、小さな子どもたちはともかく、小学校3年生以上は大人と同様に話が聞けたという印象だった。
今回の反省点、および、今後に検討すべき点としては、以下のようなものがありました。
(1)「ガサガサ」の時間は案外短くてよい。「ガサガサ」1時間+レクチャー&セルビン引き上げなどで1時間=2時間、くらいで十分と思われる
(2)今回は限られた範囲に呼びかけを行なったにもかかわらず、多数の参加者があった。次回、より望ましい季節に開催し、より広く呼びかけを行なった場合、相当数の参加者が見込まれる。その場合の対処法を検討しておく必要がある。(たとえば、人数制限をする、レクチャーにマイクを用意する、安全確保の要員を増やす、など)
(3)今回の開催場所は、釣りクラブによってセルビンや網の使用が自主規制されている場所だった。「自然の利用方法」について、さまざまな立場の人たちと議論する必要が出てくる可能性がある。
(4)用水路近くの川では、ブラックバスが多数視認された。こうした『現場』を案内し、外来魚問題などについて知ってもらう試みも、イベントの中に盛り込む必要がある。
(5)柄澤先生がペットボトルで手作りした「ペットでドボンチャン」に、強い関心が寄せられた。次回、「ペットでドボンチャン手作り講座」なども、要望が高いと思われる。
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