このたび、私たち「全国ブラックバス防除市民ネットワーク発起人会」は、「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」を設立致しました。今年6月1日、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)が施行され、ブラックバス等(オオクチバス、コクチバス、ブルーギル)が特定外来生物に指定されましたが、現実的には、これらの外来魚は全国各地の河川湖沼に広がり、被害や影響を与え続けています。これらの外来魚を防除し、各地において守りたい・取り戻したい生態系を維持・回復するためには、各地の市民団体が連携し、情報の交換・蓄積や防除技術の開発などを行ない、防除活動の輪を全国に広めていくことが不可欠だと私たちは考えました。そして、そうした役割を担うものとして「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」を位置づけ、ブラックバス等の防除に取り組む全国各地の市民団体の皆様に、参加を呼びかけていくことと致しました。
ブラックバス等の防除は簡単ではありません。調査や駆除や密放流防止に膨大な時間・労力・資金がかかるうえ、防除の必要性を地域の人たちに理解していただき、協力を得るためにもたいへんな労力を要します。効率的・効果的に、そして継続して防除をおこなうためには、各地で活動を続けている団体が互いに支えあい、さらに行政や漁協など、さまざまな立場の組織・団体と連携を保っていくことが必要と考えます。
一方、私たちのめざしていることは、ブラックバス等を防除するだけでは達成できません。ブラックバス等の防除に取り組む多くの団体は、地域の希少魚類や在来生態系などを守りたい・取り戻したいという動機から、やむなくブラックバス等の防除を行なっています。大事なのは、「それぞれの地域で最終的に守りたい・取り戻したい生態系の目標像」を明確に持ち、その中にブラックバス等の防除を位置づけながら、防除を続けていくことです。これはたいへんむずかしいことですが、この目標をしっかり立てられなければ、外来魚の駆除そのものが目的になったり、ブラックバス等以外の問題への対策がおろそかになるなどして、「それぞれの地域で最終的に守りたい・取り戻したい生態系の目標像」からかえって遠のいてしまう結果を招きかねません。
全国ブラックバス防除市民ネットワークは以上の考えに基づいて、各地域がそれぞれの最終目標に向けて最善の活動が行なえるよう、意見交換をおこない、互いに支えあう関係を築きたいと考えています。そして、このような視点から、立場の違う組織や団体とも意見交換を行なうことで、日本の内水面の維持・回復のために一定の役割を担いたいと願うものであります。
ブラックバス等の防除に取り組んでおられる市民団体の皆様には、ぜひともネットワークにご参加をいただきますよう、お願い申し上げます。また、行政、内水面漁業協同組合、学会、報道などに携わる皆様には、さまざまな形で連携、あるいはご協力を賜わりますようお願い申し上げます。
2005年11月27日
全国ブラックバス防除市民ネットワーク発起人会
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